液晶ディスプレーの原理

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液晶ディスプレーが現れてからもう随分経ち、パソコンやテレビのディスプレーは殆どが液晶 方式になりました。テレビでは以前、大型画面に液晶は向かないとされていましたが、今は大画面テレビも殆ど液晶です。しかし、最近は有機ELディスプレーの普及も始まっています。このページでは液晶ディスプレーの構造と動作原理を説明します。
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 殆どの液体の分子はそれぞれ勝手な方向に向いています。
しかし、液体は温度が下がると大抵は結晶を作り固体になります。この時、結晶の分子は規則正しく並びます。
ところが液体なのに結晶と同様に分子が規則正しく並ぶ物質があります。このような物質は液晶(液晶体)と呼ばれます。液晶ディスプレーは液晶を2枚の透明な板の間に封じ込めてあります。
尚、ガラスは固体なのに分子の配列は液体のように勝手な方向に向いています。このような物質は固溶体と呼ばれています。(結晶構造のものはクリスタルグラスと呼ばれます)

 LCDに使われる液晶の分子形状は穴の無いマカロニ(マカロニほどきちんとした形では有りませんが)の様だと考えて下さい。
2枚の板の間に封入された液晶の分子は長い方向を板に平行にして並びます。またその向きは液晶分子と接する板の状態(加工などで決まる)で決まります。
そして液晶ディスプレーでは液晶が一方の板に接するところと、他方の板に接するところでは向きが90度異なるように造られます。すると2枚の板の間における液晶分子の向きは中間的になります。つまり板面から遠ざかるに従い徐々に向きを変えて並び、異なる板に接する分子は互いに90度の角度を持ちます。この様な構造の液晶パネルに光を透過させると、光の振動方向は90度ねじられます。分子配列のねじれに従って、光の振動方向がねじられると思って下さい。

液晶表示板の動作原理説明図

 光は波の性質をもっています、つまり振動しています。そして、通常の光は全方向の振動成分を持っています。しかしこのままでは液晶ディスプレーには不都合です。そのため一方向の振動成分だけを取り出して利用します。
一方向の振動成分を取り出すには偏光板が使われます。偏光板は光の一方向の振動成分だけを通過させますから、これを通過させれば一方向の振動成分だけを取り出すことが出来ます。
ところで、2枚の偏光板を90度異なる向きで2枚重ねると、この偏光板は光を通しません。何故ならどの振動方向の光もどちらかの偏光板に遮られるからです。
しかし、この2枚の偏光板の間に、前述の液晶パネルを挟むと光は通過します。理由は液晶パネルで振動方向が90度ねじられるからです。

 前記 液晶板で表示を行うには、液晶の一部の分子の配列状態を変えてやります。どのようにして変えるかと言うと、2枚の透明板の内側に、向かい合わせで透明な電極を設けます。そしてこの電極間に電圧を加えます。
そして、電圧を比較的強く掛けると液晶分子は2枚の板に垂直になります。そうすると電極の部分だけ光の振動方向がねじられないので、そこは光が通過しません。従って電極を文字の形にすれば文字を表示できます。時計などで用いられるデジタル液晶表示板はこのような構造になっています。

 テレビやパソコンの画面では上記のデジタル液晶表示板のように文字の形をした電極では表示が出来ません。
そこで2枚の透明板に非常に多くの小さな電極を敷きつめて、その電極毎に信号でコントロールします。そして、コントロール信号の強さは明るさに応じて異なり、デジタル表示板のように一定ではありません。
また、カラーディスプレーでは赤、緑、青、等のカラーフィルターが電極毎に重ねて設けられています。


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