ステレオとモノラル

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音の再生方式には大きく分けてステレオとモノラルが有りますが、ステレオとは立体音響という意味です。またサラウンドとかバイノーラルという言葉を聞かれることも有ると思いますがこれらはステレオに含まれます。
ここでは、モノラル、ステレオ(2チャンネル)、バイノーラル、サラウンド、4チャンネルステレオについて述べてみます。

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モノラル
 モノラルとは「片耳用の」というような意味です。片耳で聞くには立体音は意味がない(?)ので1本のマイクで収音したような1つの信号だけで十分です。そのため、1つの信号だけで再生されるような再生音はモノラルと呼ばれます。

ステレオ(2チャンネルステレオ)
 ステレオは立体音響という意味ですが、自然の音は様々な方向と距離に音源が有りますから、本来はその音源の数だけスピーカーを設置してそれぞれのスピーカーから別々の音を出すのが理想的です、しかしそれは現実的ではありません。
そこでスピーカを2つ距離を離して設置し、左側のスピーカーからは左から到達する音を、右側スピーカーからは右から到達する音を、前方からの音は左右のスピーカーから同じ大きさで、更に前方より少し外れた方向の音は2つのスピーカーの音のバランスを適度な割合にするという考え方の元に音を再生します。この様な動作のためには、2つのスピーカーからはそれぞれ異なる音を出さなければなりません。そのため音信号も2種類必要です。
この再生音はモノラルに比べると臨場感が有りますが、音は2つのスピーカに挟まれた空間の外側から聞こえることはありませんし、音の奥行き感もあまりありません。
また、このような考えのもとに収録された音をヘッドホンで聞くと、音に広がりは感じられますが、自然の聞こえ方とは全く異なります。

バイノーラル
 これは人の耳の位置にマイクを設置し(耳は2つ有るのでマイクも2つ)それぞれのマイクで捕らえられた音信号を耳の位置で再生(つまりヘッドホンなどで聞く)すれば自然の音がそのまま聞ける筈、との考え方の方式です。
この方式は大変自然に近い再生音が得られます。だからヘッドホンステレオにはこの方式が適しています。しかし、音源の遠近はあまり分からず、音は頭の周囲にモヤモヤと展開することが多い様です。また、このようにして収録された音をスピーカシステムで再生してもあまり立体効果は得られません。
尚、当社開発の「LAPAS:LARGE Panoramic Acoustics System」はこの方式の問題を解決したものであり、集音場所と同等の音を聴くことができます。

サラウンド
 サラウンドは「取り囲む」という意味です。つまり音が聴者を取り囲んでいるような音響効果が得られます。この効果を得るための方式として4チャンネルステレオが有りますが、現在では2つのスピーカーでもこのような効果が得られるようになりました。
尚、モノラルでサラウンドというのは困難というか常識的には出来ません。しかし、もし可能ならサラウンドはステレオでなければならないという訳ではありません。

4チャンネルステレオ
 サラウンド効果を得るための方式ですが、スピーカーが4個以上必要であり、構成が複雑なためかあまり普及していません。また現在は2つのスピーカーでもサラウンド効果が得られるようになったので尚更です。しかし、2チャンネルステレオよりも豊かなサラウンド効果が得られると思われていて、今でも時折見られます。
スピーカは原則として聴者を4つのスピーカーが囲む(この限りではありません)ように配置されます。そして信号も通常4種類使用されます。

5.1チャンネルステレオ
 原則としてスピーカーを6個使うサラウンドシステムです。
スピーカはセンター、右前、左前、右後、左後、の5個にウーハー(低音用スピーカー)を持ちます。ホームシアター用としてかなり普及しています。


   以上のようにステレオにはいくつかの方式がありますが、最も一般的なのは2チャンネル方式でありステレオというと大抵はこれを指します(バイノーラルも二つの信号なので2チャンネルステレオシステムをそのまま利用出来ますが、スピーカーによる再生に向かないのであまり用いられません)。

 ところでステレオでは音に広がりを感じることが出来るので立体音響という言葉に嘘はないのですが、音源の場所も方向もあまり分からないのが普通です(分かるのだと思って聞くとそのように思えないこともないといった具合でしょうか)。
にも関わらずステレオは音源の位置も方向も分かると宣伝されてきました。また、最近のサラウンドシステムはかなり改善されてきましたが、基本的には同じ問題を持っています。このいい加減さに以前は疑問を呈した人もありましたが、それらの意見はステレオ繁栄の中にかき消されてしまいました。また、このシステム以上にリアルな音場を再現出来る技術が現れないので、現在ではこのステレオを敢えて批判する人は皆無です。

 不完全なステレオがこれ程普及した原動力は、ステレオの出現と同時期に音響機器の音質が著しく向上したことだと私は思っています。何故なら、その頃、高い音と低い音を別々に調整出来るのがステレオだと多くのユーザーは思っていたからです。理屈を知らない人には立体で聞こえるなどとは気がつかなかったのです。また、今でも立体で聞こえるのがステレオだとは知らない人は少なくないのではないでしょうか。


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