デジタルカメラのホワイトバランス

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デジタルカメラに有ってフィルムカメラには無い最大の機能はホワイトバランス調整です。ホワイトバランス調整とは撮影する画像の色が人の目でみたのと同様の色になるようにする調整です。これを行うには白い被写体を白として再現出来るようにカメラの特性を整えます。
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◆ホワイトバランス機能が必要な訳

 ホワイトバランス機能は赤、緑、青のそれぞれの色に対するカメラの感度を設定して白を白として撮影出来るようにします。 白は赤、緑、青が特定の割合で存在する場合の色です(一般的には太陽の全ての光を均等に反射する物体の色が白です)。だから、太陽光の中で白の被写体であっても、白熱電球や蛍光灯の照明では異なった色になります。何故なら白熱電球や蛍光灯の色合い成分は太陽光と異なるからです。つまり、太陽光の中で赤、緑、青の成分が丁度白になる割合で光を反射する被写体でも、赤、緑、青の強さが太陽光の場合と異なる電灯等の下では白にならないのです。しかし、私達人間は電灯の下でも白として認識出来ます。それは、白を白と見えるように脳が補正して感じるからです。
また、白にはあらゆる色の成分が含まれているので、白を白として認識出来る特性なら、他の色も自然な色として捉えることが出来ます。

三原色とその合成

 デジタルカメラのホワイトバランスは人が脳で行っているのと同様の補正を、カメラで行えるようにしたものです。デジタルカメラの場合、赤、緑、青はそれぞれ別々の電気信号として検出しています。だからこの3つの信号の大きささの割合を変えれば電灯の下でも白の被写体を白として捉えることができるのです。この3つの信号の大きさの割合を設定するのがホワイトバランス調整です。

 フィルムカメラでは、赤、緑、青に対する感度特性はフィルムによって決まっているので、カメラの機能でこれを変えるのは困難です(色のついたフィルターをレンズにかぶせれば可能かもしれません)。だからフィルムカメラにはホワイトバランス機能がありません。従って、電灯や蛍光灯の照明で撮ったフィルムカメラによる写真の色合いは不自然です。
そのためフィルムカメラによる業務撮影に使用される照明装置は、太陽光と同様な色合いのものが使われます。

◆オートホワイトバランス

 これは撮影時の画面の色を全て(実際には中央部分だけ)混ぜ合わせると白になるように自動設定されます。だから被写体の色の平均が偏っていると自然な色の写真にならない欠点があります。
最近はあまり見かけませんが、オートホワイトバランス以外のホワイトバランス機能が無いデジタルカメラも低価格品にはあります。

◆セミオートホワイトバランス

 白の被写体にカメラを向けてボタンを押して赤、緑、青に対する感度を設定します。初期のビデオカメラの多くはこの方式でした。理想的なホワイトバランスが設定出来ますが、オートホワイトバランスに比べてやや面倒なためか、最近はあまり見かけません。しかし、中にはこの機能を持っている商品もあるようです。白以外の被写体によりこの設定を行うと特殊効果が得られます。

◆マニュアルホワイトバランス

 マニュアルと聞くと、面倒なものの微妙な調整が可能という感じを受けますが、コンパクトデジタルカメラでは太陽光、蛍光灯、白熱電灯の3つ、あるいは蛍光灯は2種類の4モードを切り換えるものが多いようです。もっと細かな設定が出来ても良いと感じられるかもしれませんが、通常の撮影ではここれだけでたいてい事足ります。被写体によって色合いが変化することがない上に、大抵はオートホワイトバランスより綺麗な色で撮影出来ます。しかし、最近は、色温度(光の色合いを表す単位)を直接入力して設定出来る、「雨天」等更に多くのモードを持っている、或いは様々なシーンに最適な設定をプリセットしておいて選択出来る等、多くの機能を持っている機種が増えました。


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