補聴器では音の方向が分からないのは何故

 

左補聴器を使うと音の方向が分かりません、何故ですか。



 人は、左右の耳に入る音量差と位相差によって音の方向を判別していることはある程度分かっています。
しかし正確なことはまだ分かっていません。また分かったとしても音源が判別出来る音場を耳穴の中に再現するのは大変難しいものと思います。 更に、補聴器を使うと音源や方向以前に、聞こえ方そのものが健康な耳とは全く違ってしまう大きな問題を持っています。先ずはこれが解決されるべきで、これが解決されると方向についての研究も一気に進むような気がします。

 現在、方向が最も分かり易い補聴器類は「みみ太郎」だと思います。「みみ太郎」は、人の耳の構造を真似ることで、自然に近い聞こえをつくり出していますが、製造者もそのメカニズムを正確に分析出来てはいないのではないかと思います。また、「みみ太郎」といえども健常者と同様に分かる訳ではありません。

 ステレオは、音の方向が分かるとされています。しかし、モノラルに比べると音に広がりがあるものの、方向が分かると言える程のものではありませんし、音源の特定にいたってはとても無理です。それでも最近は5.1チャンネルステレオでかなりの臨場感が得られるようになりました。

 現在、最も自然な音が得られるステレオ方式はバイノーラルだとされています。これは人の耳(或いはその模型)のところで収音した音をヘッドホン等を使用して耳のところで再生する方式です。補聴器の両耳装用ではこの効果が得られます。また みみ太郎やフェミミでは耳の位置ではありませんが、マイクロホンを少し離して配置することで得られるバイノーラルと同様の効果を利用しています。
しかし、バイノーラルでも音源を正しく認識することは出来ません。