電圧と電流と抵抗

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 最近は口にされる方は少なくなりましたが、「電気は見えないから分からない」とおっしゃる方があります。電気と兄弟のような電波はつながっていなくても伝わるのですから尚更だと思います。しかし、口にしなくても「見えないから理解できない」と感じている方は少なくないのではないでしょうか。ここでは電気回路の初歩である電圧と電流、それに抵抗について書いてみます。
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 電気は金属などの導体と呼ばれる物質の中をよく流れます。
この電気の流れを電流と呼びますが、ここで言う電流は電子という素粒子の流れです。最近何人もの日本人が素粒子の研究でノーベル賞をもらったので素粒子という言葉は大抵の人がご存じだと思いますが、素粒子は物質を構成する最も小さい単位です。
粒子と言うからには大きさがあってしかるべきですが(実は無いのです)その大きさについて先日テレビの番組ではそれが数ミリの大きさと仮定すると、人間は太陽系の大きさになると説明されていました。素粒子とはそれ程小さい?のです。

 電子は物質を構成する原子の要素として必ず(多分)在ります。物質は原子で構成されていますから、物質の中にはこの電子がギッシリと詰まっています。そしてこの電子が移動し易い物質が導体です。つまり、電気(電子)は導線の中をところてんのように押し流されるのだとイメージして良いと思います。しかし、電子は必ず元に戻る経路が必要なことと、重さが無い(に等しい)のがところてんとややイメージが違います。この様は電気の教科書ではパイプを流れる水に例えられますが、パイプの水は栓を開いて水を抜けば中が空っぽになります。しかし、電子の場合は空にすることが通常はできません。

 導体は電子をよく流しますが、流れ易さは導体の種類によって異なります。この流れ易さはコンダクタンスと呼ばれますが、通常は流れ難さを表現する抵抗という考え方が多用されます(抵抗はコンダクタンスの反対、つまり逆数です。抵抗値=1/コンダクタンス です)。電子が何の抵抗も受けずに流れる導体の抵抗値はゼロ、コンダクタンスは無限大です。リニアモーターカーなどの話しの中でよく耳にされる超伝導体はこのような物質です。

 超伝導体以外の物質は抵抗(電気抵抗)を持っています。このような物質に電流を流すにはその両端に電圧をかける必要があります。ところてんでは一方から圧力をかけてところてんを押し込むと他方から押し出されますが、この時かける圧力が電気の場合は電圧です(ところてんでは圧力)。
そして圧力が高い、つまり電圧が高い程電子は多く流れます。また電圧が同じなら抵抗値が小さい程多くの電子が流れます。抵抗値ゼロの超伝導体ならゼロより高い電圧でいくらでも電子が流れます。またリング状の超伝導体では一度電子(電流)を流すと止めない限り永久に流れ続けます。

 通常の導体は抵抗値を持っています。従って流れる電流は両端に加わる電圧が大きいほど大きく(電流は電圧の大きさに比例)、抵抗値が大きいほど小さく(電流は抵抗値の大きさに反比例)なります。また電圧が無くなるとすぐに止まります。

 抵抗値は導体の材質や温度で異なりますが、それらが同じなら細い方が大きくなります(断面積が半分なら抵抗値は倍になります)。水道のパイプに例えればパイプが細い方が水を流し難いのと同じです。また、同じ太さなら長い方が抵抗値が大きくなります(長さが倍なら抵抗値も倍になります)。

 電気を流さない物質は絶縁体と呼ばれます。しかし、大抵の絶縁体は抵抗値が高いだけで基本的には導体と同じです。つまり多くの絶縁体と呼ばれている物質は電圧をかければ微少電流が流れるのですが、それが非常に小さいなら絶縁体として扱われます。

 余談ですが、身近な素粒子には電子の他に光子があります。光子は光の粒ですが、電波と光は同じ電磁波ですから電波も光子だと言えます。電波は波だから粒子ではないのではと思われるかもしれません。しかし、物質の最小単位である素粒子の世界では粒子と波の区別ができないのです(イメージ的には波と考えた方が良いもしれません)。そのため電子には大きさがあるとも言えるし無いとも言えるのです。


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