回線と通信速度
(アナログ電話回線による通信速度)

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回線は通信設備の用語で、電話機などと電話局とを接続する線を指します。現在では光回線(全てデジタル回線です)も増えましたが、ここでは昔から電話機に使われてきたメタル回線(アナログ回線とも呼ばれますが、デジタル通信のADSLもこれを使用します)の通信速度を説明します。通信速度の速いADSLが出現してインターネット通信は大変快適で安価なものになりました。この快適な要因は通信速度が速いことが大きいと言えます(常時インターネット接続が出来ることも重要ですが)。通信速度の知識はインターネットを利用する上でけっこう重要です。
ここではメタル回線によるADSL(音声信号帯域より高い周波数信号を使うデジタル通信)と、今では殆ど使われませんが、知識として知っておきたいダイヤルアップ(音声信号帯域を使うデジタル通信)の通信速度について述べてみます。

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 データー通信の速度は一般的にbps(ビーピーエス・・・ビットパーセコンド)で表されます。
これは1秒間にどの位のスピードでデジタルデーターの転送が行われるかを表します。例えば56kbpsなら1秒間に56,000個、26Mbpsなら26,000,000個の1又は0を転送するという意味です。

ダイヤルアップ接続の通信速度

 これはアナログモデムを使用して行う通信です。この通信は電話で扱われる音声信号の範囲内周波数(400〜3,000Hz)によって行われます。ADSLが現れるまで、個人のインターネット通信は殆どがこれでした。アナログモデムは一般的に次の速度で通信を行います(ITU・・・国際電気通信連合・・・によって取り決められている)。
300bps 1,200bps 2,400bps 4,800bps 9,600bps 14.4Kbps 28.8kbps 34.4kbps 56kbps

 この通信速度は技術の向上に伴ってより高速のものが開発されてきました。しかし、最新の56kbpsモデムもそれより遅いスピードの機能を全て持っています。そして電話局とモデムとの距離が遠かったりして回線品質が悪いと高速通信が難しいのでモデムは自動的にそれより遅い速度に切り換わり動作をします。

 パソコン通信の黎明期モデムの速度は300bpsや1,200bpsでした。現在のブロードバンドに比べると呆れる程の低速ですが文字だけの通信なら結構使える速度です。このスピードは程なく2,400bpsになりました。この頃、草の根BBSと呼ばれた掲示板が盛んでしたが、当時インターネットはまだ無くてマニアが自宅にホストを設置し、クライアントが電話回線によるダイアルアップでホストにアクセスするものでした。しかし、この後インターネットが現れこのようなBBSは姿を消しました。

 9,600bpsという速度は草の根BBSがまだ1,200bpsや2,400bpsで運営されていたころ、既にG3ファックス(現在普及しているファックスの規格・・ファックスにもデーター通信と同じモデムが使われています。また方式は異なりますが第二世代携帯電話機のデーター通信もこの速度です。)に用いられていました。

 28.8kbpsの出現時には、これが音声帯域を使用するモデム速度の限界と言われました。しかし、すぐに34.4kbpsや56kbpsが現れました。

 56kbpsは現在のアナログ電話回線用モデムの最高速度です。但しこれは下り・・・電話局から端末つまりパソコンに送られる・・・の速度であり、上りは33.6kbpsです。

 尚、これらの速度は理論最高値であり実際に可能な通信速度(スループット)はこれよりも少し遅くなります。

ADSLの通信速度

 ADSLはアナログ電話回線を使いますが、音声帯域より高い周波数が使われます。そのため音声信号とADSL信号は分離する事ができます。従って、電話で話し中でもADSL通信が可能です。

 日本で最初のADSLは東京メタリック社の512kbps(下り最高速度)でした。そしてすぐにNTTフレッツの1.5Mbpsが現れました。ADSLが現れるまで殆どの個人ユーザーは早くて56kbpsのモデムを使っていた訳です。それが一気にこのスピードで、しかも常時接続になったのですから劇的でした。しかし、すぐに主役は8Mに移りました。この後12Mが現れたと思ったらすぐに24Mbps、26Mbps、40Mbps、47Mbps、50Mbps等が次々に現れ現在に至っています。尚、24Mbps以上のスピードはプロバイダーにより異なります。また、1Mbpsというスピードも有りますがこれは低コスト版として比較的最近登場しました。

 ダイヤルアップ接続では使用されるモデム(これにはプロバイダーのモデムも含まれます)と回線品質によって最高速度が決まりますが、ADSLの場合は契約と回線品質で最高速度が決まります。そして料金は契約スピードによって異なりますから、ユーザーは下記を考慮して適切なスピードを自分で選択すべきということになります。しかし現在は、その価格差は僅かなので高速タイプを選べば良いかもしれません。

  1. その回線では最高でどの位のスピードが出るのか
     最も早い50Mbpsを選んでもこのスピードで使えるとは限らない、いや大抵は回線品質の関係でこれよりかなり遅いのが普通です。すでに使われている近所の人にどの位のスピードが出ているのか聞いてみるのが良いかもしれません(スピードを測定出来るサイトは数多くありますが次の2つはその例です。 http://www.musen-lan.com/speed/  http://www.bspeedtest.jp/)。契約は実際に得られる最高スピードと同程度かそれより少し高いスピードが適切と言えます。だから最高スピードが1Mbps前後或いはそれ以下なら低価格の1Mbpsで十分です。 スピードは時間帯によっても変動しますので何回か測定して最も早いものを参考にして下さい。
    尚、ヤフーBBにはリーチDSLという選択肢がありますが、これは電話局との距離が遠くて(約4km以上)他のスピードだと正常な通信が出来難いユーザー向けです。料金は8Mタイプと同じです。

  2. そのスピードが必要か
     利用するのはメールで、ホームページの閲覧はあまりしないという場合は低価格の1Mbpsで十分です。しかしホームページの閲覧が多い場合は表示スピードの早い、より高速なものが良い筈です(けれども1Mbpsというスピードでもけっこう使いものになります)。
  3. IP電話が必要ならこれの内容(これはスピードとはあまり関係ありませんが)
     通話料金がプロバイダーによりかなり異なります。また同じプロバイダーに加入している人同士の通話は無料ですが、異なるプロバイダー間の通話では大抵通話料金が発生します。更に携帯電話と通話出来るかどうかも考慮すべきでしょう。IP電話は通話料が大変低いので電話の利用が多い方ならADSL選択のための重要な項目です。

 一般的にADSLは光ファイバー回線が普及するまでのつなぎと考えられていました。また、光回線のコストはもう高くはないので導入は悪くありません。しかし、殆どの人にとってはADSLの速度で十分だし、価格も少し安いのでADSLのままであまり問題はないと思います。

 ブロードバンド(高速大容量)通信にはケーブルテレビの回線を使うものも含まれます。これはケーブルテレビもご覧になりたい場合は良い選択かもしれません。しかし、通信速度は業者によって様々ですから注意が必要です。

 補聴器等の難聴機器にはアナログやデジタルという言葉が頻繁に使われますが、これと通信速度はあまり関係ありません。


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