デジカメの画質と感度

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デジカメ購入において、昔は絵素数(画素数)が気になったものです。しかし、最近は普及品やスマホでも1,000万画素を越えるのが当たり前になり絵素数はあまり気にならなくなりました。それでも、撮像素子はデジカメの心臓部です。ここでは撮像素子と画質との関連について初歩的なことを述べてみます。
CCD の外観例
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◆撮像素子の絵素(画素又はピクセルとも言う)数

 デジカメの撮像素子はフィルムカメラのフィルムに相当する部品であり、非常に小さな光検出器が小さな平面に敷き詰められた構造をしています。そして一つ一つの光検出器毎に、その点の明るさ及び色として光を電気信号に変えて検出します。従ってこの点(つまり絵素)は多い程きめ細かな写真を撮ることが出来ます。だから写真を美しく撮るためにはこの点(絵素)は多い程良いと言えます。しかし、絵素が多いとそれに比例して写真1枚のデーター量が多くなり、そのまま通信で送信するような場合思わぬ時間がかかったりするので注意が必要です。

 ではホームページ用の写真をつくるにはどの位の絵素が必要なのでしようか。
一般に使われるパソコンモニターの解像度が1024×768だと仮定すると、これいっぱいの大きさの写真をつくるには786,432絵素(つまり約80万ピクセル)あれば良いことになります。しかし、画面いっぱいの画像をつくることはあまりありませんし、撮影した写真はその一部を切り取って使うのが普通です。だからこの2つを考慮して少し余裕を持つとすると100万絵素位あれば十分のような気がします。しかし、実際に使ってみると、同じサイズのJPEG画像でも大絵素のカメラで撮影したものからつくられた方が綺麗に見えますから絵素数は多いにこしたことはありません(絵素数以外の要因もあるかも、また、絵素3個、つまりRGB組で1絵素とも考えられますから300万絵素位あった方が良いのかもしれません)。

◆撮像素子のサイズ

 高価なカメラほど撮像素子は大きいのが普通です。だから「撮像素子は小さいより大きい方がよい」・・・実はそうばかりでもないのですが。 大型の撮像素子は、絵素数の多いものを造りやすいのは勿論ですが、同じ絵素数なら絵素サイズを大きく出来るので高感度或いは低ノイズのものを製造し易い利点があります。また、レンズの焦点距離を長く出来るので背景のぼかしなどの効果を得やすい特徴もあります。(最近は35mmフィルムと同じサイズの高性能デジカメが増えましたが、数年前までは高性能一眼レフカメラでさえもっと小さいのが当たり前でした。ところがレンズはフィルムカメラ用と同じ規格なので、レンズの性能を生かし切れなかったと言えます。)
欠点としては、一般的に大口径のレンズが必要、固定焦点カメラ用としてはピントの合う範囲が狭い等です。小型撮像素子の利点はこれの裏返しです。
つまり、動きのあるものの撮影等で素早く写真を撮りたい、或いは簡単な構造で失敗の少ない撮影の出来るカメラを造りたいというような場合は固定焦点カメラの方が良かったりしますが、このような用途には撮像素子が小さい(つまり焦点距離が短い)方がピントの合う範囲が広いという意味で有利です。

◆原色フィルターと補色フィルター(色合いと感度)

 撮像素子は光の強さを電気信号の大きさとして検出しますが、色を選別することはできません。そこで撮像素子の絵素一つ一つにフィルターを貼りつけています。つまり赤のフィルターが貼られた光検出器からは赤の信号、緑が貼られた素子からは緑の信号という具合に取り出されます。 このフィルターの色が赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類であるものが原色フィルター、黄色、マゼンタ、シアン(色合いを改善するために緑も使われている場合が多い)のものが補色フィルターです。
一般に原色フィルターは色が良く、補色フィルターは明るい(つまり感度が高い)利点が有るとされています。しかし、撮像素子の感度が向上したので、殆どのカメラが色の良い原色フィルターを採用しています。従ってこのことは気にする必要がなくなりました。しかし、カメラ毎の発色に違いはあるようです。
感度については「ISO1600相当」という具合にカタログに表示されていますからこれを参考になります。ISO値は大きい方が高感度で、数値が2倍なら感度は2倍です。また昔使われていたASAとISOの値は同じです。

色度図

 原色フィルターの方が色が良いとされる理由は、原理的に色再現範囲が広いことです。色度図(上図)は自然界の全ての色を表すとされていますが、その3つの頂点かその付近にそれぞれ赤緑青が位置します。そしてその赤緑青を適度に混ぜ合わせることで、そのその点を直線で結んで表される三角形に含まれる色を表現出来ますから赤、緑、青(つまり原色フィルター)で自然界の大部分の色が再現出来ることになります。
しかし補色(黄色、マゼンタ、シアン)は色度図の三角形の頂点では無く辺の中間点に有ります。従って黄色、マゼンタ、シアンの3点を結んで出来る三角形の面積は原色(赤、緑、青)の場合よりかなり小さく、表現できる色の範囲は少ないと言えます。そのため補色フィルターを用いる場合は緑のフィルターも加え色合いの改善を行う場合が多いのです。
尚、補色フィルターの方が感度が高いと言われる理由は、補色フィルターの方が原色フィルターより光透過率が高いからです。

◆レンズの明るさと焦点距離

 どの位暗くても撮影出来るかは撮像素子の感度と共にレンズの明るさで変わります。
レンズの明るさはFで表され、F値が小さいほど明るいことを意味します。(F値が半分なら明るさは4倍です。だからF値の1/2倍は撮像素子感度の4倍に相当します。)
ところでレンズの「明るさ」とは、撮像素子上にどのくらい明るい像を結べるかということであり、レンズの透明度のことではありません。
F値は焦点距離を口径(通常絞り全開時の実効径)で割った値です。レンズの口径が大きいと多くの光を取り込むことが出来るので明るいことは容易に理解出来ますが、焦点距離がなぜ関係するのかピントこない方は少なくないでしょう。
レンズで太陽光を集め火を起こしたことの有る方は多いと思いますが、その時、焦点距離の短いレンズは長いレンズより集光されて出来る光のスポット(これは太陽の像です)が小さかった筈です。そしてスポットの小さいレンズの方が大きいレンズより早く火がついた筈です(レンズ径は同等の場合の話ですが)。これは短い焦点距離のレンズは長いレンズより小さい面積に光を集めることが出来るからです。だから焦点距離が短い方が明るい像をつくることができるのです(そのぶん像は小さくなります)。つまり焦点距離が短いことはそれだけ明るいことを意味します。
尚、固定焦点カメラはピントの合う範囲を出来るだけ広くとるために絞りが小さく造られていて、それがため感度は高くないものが多い様です。

◆CCDとCMOSセンサー

 撮像素子で一般的なのはCCDとCMOSセンサー(JFETイメージセンサーもこれの一種です)ですが、二つの違いは光検出器から信号を読み出す構造です。
従来はCCDの方がCMOSセンサーより感度とノイズにおいてすぐれているとされていました。しかし、最近はCMOSセンサーの性能が向上して高級機種の多くもこれになりました。


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