CDの信号と構造

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CDは最初、新しい音楽レコードとして現れ、その後CD ROM等が加わりました。また、現在はDVD、BD(ブルーレイディスク)など多くの光ディスクがありますが、信号を読み出す仕組みはレーザーディスクとしてそれ以前から実用化されていたもので、共通しています。ここでは音楽用として最初に現れたCDについて述べてみます。

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 CDにはデジタル信号に変換された音楽情報がピット列としてCDの内側から外側に向かって渦巻き状に記録されています。ピットというのは穴とか窪みというような意味です。そしてこの窪みはレーベル面から見た状態を表しています。従って読み出し面(ピカピカ光る面)ではピットの部分が出っ張っています。
ピットの長さ及び前後方向のピット間の距離は0の数を、またピットの端が1を表します。0の数はデジタル信号換算で3ビット以上11ビット以下に取り決められています。つまりその様な方式のデジタルデータが書き込まれている訳です。
またピットの幅は0.5μm(ミクロン)、トラック(アナログレコードの溝に相当)の間隔は1.6μmです。人の髪の毛の太さが平均的に約50μmですから、髪の毛一本の幅に約30本のトラックが有ることになります。
このように情報はCD表面の形状として記録されています。そのためプレスによる製造が可能であり、大量生産に大変好都合です。
尚、教科書ではこのピットは綺麗な台形で説明されていますが、実際の表面はグジャグジャしていてあまり美しいとは言えません。

 CDを再生する場合、ピットがレーザー光によりデジタル信号として読み出されます。レーザー光は非常に小さな点に収束出来るので小さなピットを読み出すのに好都合です。
レーザーダイオードから放射されたレーザー光はレンズで集光されて回転しているCDの読み出し面(光る側)に当てられます。CDの読み出し面はピット部分以外は平らな鏡面です。従ってピット以外の部分に照射されたレーザー光は正確に反射されます。しかし、ピット部分(形状は凸)に照射された光は乱反射されます。
CDで反射された光は光検出器によって検出され電気信号として取り出されます。つまりピット部分では反射光が少ないので検出信号はピットが無い部分に比べ小さくなります。
検出された電気信号はそのレベルが変化する部分を1、それ以外を0とするデジタル信号に変換されます。

CD にはデジタルデーターがピットとして記録されている

 尚、CD R等、書き込み出来るものにはピットは有りません。しかし何らかの方法で光が多く反射される部分と少ししか反射されない部分をつくることにより、ピットと同様の機能を持たせています。

 オーディオデジタル信号は、少しでも間違いがあると大きな雑音になったりします。そのためデジタル信号の中に、誤り検出と誤り訂正情報を持っています。これはCD ROM等コンピューター用のメディアとしての使用に耐える大変強力なものです。

 誤り訂正機能を持っているために、CDは小さな傷ならあまり問題になりません。しかし、傷が多くなると訂正不可能になり、大きな雑音が出る、音飛びする、音が出ない、等の症状がでます。また汚れでも同様の症状になります。汚れた場合はこれを落とす専用のクリーニング材が販売されています。しかし、わざわざ買わなくても中性洗剤を薄めた液を染み込ませた布で拭けば十分です。拭き取りはトラックを横断する向きで行います。理由は、トラックと平行の長い傷がついて誤り訂正が出来にくいエラーが起こるのを防ぐためです。
傷の修復は難しいのですが、最近では修復用のキットが販売されていますので全く不可能という訳でもありません。しかし、大きな傷やレーベル面の傷の修復は不可能です(デジタルデーターはレーベル塗料のすぐ下に刻まれています)。尚、大切なCDならバックアップをとって通常はこれを使用し、原盤は大切に保存しておくことも可能です。

 CDの容量は650MB(最近は700MBや750MBも多い)であり、これは最大74分の音信号を記録できる容量です。また、再生周波数帯域は20Hz~20KHzです。しかし、スーパーオーディオCDというもっと広い帯域の商品もあります。余談ですが15KHz以上の音が聞こえる人はそれ程多くありません。また加齢に伴い難聴になる人は多いのですが、その場合最初に高い音が聞こえ難くなります。


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