骨伝導の長短

 

骨伝導ヘッドホンと通常のイヤホンとの長短について知りたい。



骨伝導ヘッドホンの長所は、

 耳穴が痛くならない。
 鼓膜に負担がかからない。
 衝撃音や雑音が気にならない。
 周囲の音が通常通り聞こえる。
 伝音性難聴者によく聞こえる。

欠点は、
 イヤホンより大きなドライブパワーが必要。
 大きな音量が得られない。
 広帯域音の再生に向かない。
 感音性難聴者では聞こえにくい。
 補聴器では感度を上げるとハウリングが起き易い。

等です。

 従って骨伝導補聴器では、伝音性難聴(鼓膜や中耳など、音を神経まで伝える器官の機能低下による難聴)には良質な音質で大きな効果が期待できます。しかし、本体が大きい、感度を上げるとハウリングが起きやすいので遠くの音を捕らえ難い等の欠点があります。

 しかし感音性難聴(聴覚神経に属する器官の機能低下による難聴)にはあまり効果がありません。「あまり効果がない」とは軽度の感音性難聴なら効果が無い訳でもないという意味です。また、高度難聴以上では大抵の場合効果がありません。何故なら高度難聴や重度難聴はたいていの場合感音性難聴だからです(伝音性難聴は深刻な場合でも高度難聴に至ることはあまりありません)。
ところが、老人性難聴の場合は感音性難聴と伝音性難聴の混じった混合性難聴の場合が多く、この場合は高度難聴の初めぐらいまでは役立つことがあります。

 という訳で高度難聴以上では殆どの場合、通常のイヤホンの方が骨伝導よりよく聞こえます。けれども骨伝導の音は衝撃音が問題にならないし、鼓膜に負担がかからず疲れないので、聞こえる方には優れた方式です。ハウリングの心配が無いテレビ観賞用としては特にお薦めします。

 尚、補聴器らしからぬ眼鏡型骨伝導補聴器や、高域特性の良い超磁歪骨伝導ヘッドホン等もあります。