補聴器の選択

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 補聴器の目的は難聴者の聞こえを助けることが第一ですが、補聴器には様々なタイプや性能の製品があり、最適な機種の選定は容易ではありません。そのため、利用者は販売店で勧められるままに購入し勝ちですが、最適な商品を入手するために購入者も出来るだけ多くの知識を持つべきです。ここでは、難聴の程度とそれに適する補聴器について大ざっぱに纏めて見ました。しかし、この限りではありませんのであくまで参考として下さい。 尚、補聴器類は医療器機としての補聴器と、医療器機でない集音器等に区分されることが多いのですが、機能的にはどちらも同じであり、切り離しての記述は適切ではありません。そのためここでは二つは区別しないでどちらも補聴器として記載します、あらかじめご了承下さい。
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【軽度難聴に適合する補聴器】

 軽度難聴は、「ささやき声や、小さな音を聞き取れないときがある」「普段から聞き間違えたり、聞き返すことが多い」「会議などで聞き取りがつらい」「家族からテレビの音が大きいといわれる」等で、補聴器無しでも生活への支障はそれほど無いとされています。しかしお仕事では軽度難聴でも支障が多く、使わざるを得ない場合は少なくないと思います。

■アナログ補聴器(主に集音器)
 探せば思わぬ掘り出し物があったりします。しかし、あまりに低価格な物には粗悪品もあり、注意が必要です。1万円くらい以上のオーソドックスな商品なら問題は少ないかもしれませんが、あまりにユニークなものはよく調べてからにした方が良いでしょう。低価格集音器には強力さに欠けるものの優れた音質の商品は少なくありませんし、安価なので手軽に利用できます。また低価格とまでは言えない集音器の多くは中度難聴まで実用的です。
アナログ補聴器には、みみ太郎やホワイトイヤーのような高性能品もあります。これらは深刻な難聴でも実用的な上に音質も良いので、サイズが気にならなければ軽度用としても大変優れています。また、両耳で6〜8万円ですからデジタル補聴器が片耳10万円前後であることを考えれば安価です。

■骨伝導補聴器
 骨伝導は伝音性難聴ならある程度深刻であっても大きな効果を期待出来ます。きくちゃんは中度難聴、タワールは高度難聴の初めくらいまで実用的ですが、観念的には軽度難聴用と考えるのが妥当です。また、耳閉症や耳漏のある方に骨伝導補聴器は最適です。

■耳穴式デジタル補聴器
 高度難聴に対応する耳穴式デジタル補聴器もありますが、通常は軽度難聴用と考えるのが妥当です。理由はハウリングし易いので大きな増幅度が難しいからです。またハウリング防止のために密閉度が高いのが普通ですが、これは閉塞感や咀嚼音の原因となります。更に、小さいのでお年寄りに扱い難い、紛失し易い、等の問題もあります。利点は補聴器使用を周囲の人に気づかれ難いことと、活動の邪魔にならないことです。

■耳掛け式デジタル補聴器
 閉塞感や咀嚼音の点で耳穴式より優れています、耳穴式よりもハウリングが起き難くいので密閉度を低く出来るからです。また、サイズも大変小さいものが増え、目立ち難さも耳穴式と大きな差はなくなりました。そのため最近の補聴器の主流は耳掛け式になりました(以前は耳穴式でした)。また、耳掛け式は中度難聴まで適応できるものが殆どです。

【中度難聴に適合する補聴器】

 中度難聴の中でも比較的軽い場合は「普通の会話が困難」、度合いの高い中度難聴では「耳のすぐそばで話してもらわないと普通の会話が困難」「大声なら聞き取れる」と言われています。比較的軽い中度難聴の場合は軽度難聴用補聴器でも間に合う場合が少なくありませんが、度合いの高い中度難聴での補聴器選択は神経質であるべきでしょう。薦められるままにではなく試聴などして、十分納得の上で購入しましょう。

■アナログ補聴器(主に集音器)
 通常のアナログ補聴器の多くが中度難聴まで対応します。イヤホンを使うポケットタイプが多く、これらの基本性能は平均的なデジタル補聴器にあまり遜色はない、或いは勝るのが普通です。しかし、サイズが大きい、イヤホンコードが邪魔になる、見栄えが悪い、などの欠点があります。そんな中でフェミミはパイオニアとのブランドイメージによって、人前でも臆すること無く使えます。また比較的高価格のみみ太郎やホワイトイヤーなら高性能ゆえに使っていると、言い訳できるかもしれません。

■デジタル補聴器
 大手メーカーの耳掛け式デジタル補聴器の大部分が該当します。活動の邪魔になり難いので仕事上補聴器が必要な方には妥当な選択と言えます。欠点は、価格に見あう程の効果を感じ難いことと、補聴器店での終わりの無いメンテナンスが必要なことでしょう。また、耳穴式では利用者毎に型取りが行われます、音が漏れるとハウリングが起きるからです。一見快適そうに見える耳穴式ですが、取り扱いや音質の点で耳掛け式の方がお薦め出来ます。

■骨伝導補聴器
 機種が限られますが、きくちゃんやタワールは中度難聴でも実用的、介護用としては特に優れています。介護以外でもサイズが気にならなくて聞こえる方なら良い選択でしょう。

【高度難聴に適合する補聴器】

 症状例として「車がそばにこないと気づかないときが多い」「耳そばで大声で話してもほとんど聞こえない」といわれています。また一般的に補聴器を使っても通常の会話は困難とされています。しかし、ホワイトイヤーは高度難聴では十分に実用範囲、みみ太郎も高度難聴の初めまでなら実用的です。実用的な商品はこれ以外にもあると思いますが機種は多くありません。尚、高度難聴以上では補聴器を諦めて手話を習得される方も少なくありません。

■アナログ補聴器
 みみ太郎とホワイトイヤーは高度難聴で使えるアナログタイプの代表です。また、アナログ補聴器は大手メーカーからもいくつか発売されています。高度難聴以上になると個人差が大きいので購入の前に試聴などで十分な検討をすべきです。

■デジタル補聴器
 ハウリング防止のために耳掛け式では大抵イヤーモールドが使われます。また耳穴タイプでは密閉度を保つために正確な型取りが必要です。どちらもフィッティングに難しさがありますので信用ある店で購入されることをお薦めします。仕事上補聴器を必要とされる方は、中度難聴用と同様に耳穴式や耳掛け式のデジタル補聴器は好ましいと思います。しかし、邪魔にならないことよりも聞こえの方が重要という場合はアナログ補聴器の検討をお薦めします。

【重度難聴に適合する補聴器】

 重度難聴は一般的に聾に分類され、言葉の聴き分けは殆どできないものの、補聴器を使えば音があるかないかの判別は可能とされてきました。ところが、ホワイトイヤーは重度難聴、更には最重度難聴でもハッキリ聞こえることが少なくありません。

■アナログ補聴器
 重度難聴でも十分に言葉の聞き分けが出来る可能性があるのは、ホワイトイヤーくらいだと思います。みみ太郎の音質は優れていますが、重度難聴には役立ちません。また、大メーカー品にも重度難聴用アナログ補聴器は存在しますが、それらは音があることを知ることは出来ても言葉の聞き分けは出来ないのが普通です。

■デジタル補聴器
 耳掛け式デジタル補聴器にも重度難聴対応品があります。しかし、アナログ式同様言葉の聴き訳は大抵できません。音が有るか無いかを判別できるだけと考えるのが無難です。


下記もご覧下さい。
「難聴の種類と聴力」
「補聴器のデシベル(dB)」
「補聴器の雑音と聞こえない補聴器」
「デジタル補聴器とアナログ補聴器」
「補聴器と助聴器や集音器の違い」


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