携帯電話が混信しないのは何故?

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テレビやラジオと同様、携帯電話も基地局との通信には電波を使っています。しかし、テレビやラジオは混信の問題があるのでそれほど多くの放送局を設けることができません。しかし、携帯電話ではおびただしい数の通話が行われているにも関わらず混信することがありません、何故だと思いますか。
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 携帯電話では非常に多くの送受信が行われても混信しないように、下記のような手法を組み合わせて使っています。

周波数分割:
 これはラジオと同様の方法です。つまり、異なる通信はそれぞれ異なる周波数の電波を使う手法です。

セル分割:
 電波の到達距離を調整して、距離の離れたケータイ同士の混信を避ける方法です。つまり通話エリアを複数に分割し、エリアの中だけに届く強さの電波を使い通話します。こうすることで同じ周波数の電波でもエリアが違えば混信しません。また、電話機の数が少ないとエリアを大きく、多いとエリアを小さくして数を増やします(電波の強さは自動調整されます)。
尚、英語でケータイをセルラーホーンと呼びますがこれが語源です。

時分割:
 電波を時間で細かく区切り複数の電話機で同じ周波数の電波を使う方法です。例えば4分割すれば4人までが混信を起こさずに通話できます。一人分の通話情報は1/4に時間圧縮して細切れに送信し、受信側ではこれを引き伸ばしてつなぎ元の情報に復元します。

スペクトラム拡散:
 第三世代ケータイで用いられるようになった方式です。これは、ある程度幅を持った周波数の中に情報を拡散して送信(イメージ的にはデータを非常に細かく砕いてそれぞれを少しづつ異なる周波数の電波に載せて送信)し、受信側では再び元の状態に復元しながら受信します。拡散はケータイの端末毎に異なるルールで行われるので、同じ周波数帯が複数のケータイで使用されても混信しません。(スペクトラム拡散の概念もご覧下さい。)スペクトラム拡散は混信の防止以外にも様々な利点があります。(ケータイとは関係ありませんが、GPSにもスペクトラム拡散は用いられています・・・こちらが先。)

 尚、音声などはコーディックと呼ばれる強度の情報圧縮と共にデジタルデータに変換して送受信されます。これは電波の混信とは関係ありませんが、限られた電波で多くの通話をするのに役立っています。最近は随分良くなりましたが、ケータイの音質がそれ程優れないのは主にコーディックが原因です。


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