アナログとデジタルの違い

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電気製品の中でも補聴器等の難聴機器にはアナログとかデジタルという言葉が頻繁に出てきます。一般的にこの言葉から受ける感じは、アナログは古くて性能は優れないものの暖かみがあり、デジタルは新しくて高性能そして冷たい又は硬いというようなイメージかと思います。しかし、アナログとは、デジタルとは一体どういうことなのでしょうか。
話しが少し外れますが、コンピューターが出現するまで計算器の主役だった算盤はデジタル計算器、計算尺はアナログ計算器でした。デジタル計算器の算盤は間違いの起こりえない正確な計算が出来る反面、複雑な計算では操作が膨大になるので一般的には実用的ではありませんでした。また、アナログ計算器の計算尺は簡単な操作で複雑な計算が出来るものの計算結果には誤差が出ました。ところが、コンピューターが現れて非常に複雑な計算が間違いのないデジタル方式で瞬時に行えるようになり、アナログ計算器の出る幕はなくなりました。

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 アナログという言葉を辞書で牽いてみると「類似した物」「相似形」「類似語」などのが載っています。 これを実際の電子機器に当てはめて考えてみましょう。

 例えば昔のレコードはアナログでした。そしてアナログレコードには細い溝が有って、その溝をレコード針がトレースして音を再生していました。
このレコードの溝の壁面は波状になっていて、この波が音波を表している訳です。つまり溝の壁面の形と音の波が相似形であるという訳です。再生時は壁面の波で針が振動して電気信号が検出されます。この信号は大変小さいのでアンプで増幅され、これがスピーカーを駆動します。つまりスピーカーから出る空気の波と、レコードの壁面の波は相似(周波数特性は異なる)です。

 ではアナログ時計はどういうことなのでしょうか。
針が連続的に動いて時刻を表示するものをアナログ時計と呼びます。これに対し1秒づつ、或いは1時間ずつ段階的に表示するのがデジタル時計です。
つまり実際の時刻は連続的に進んでいますから、これを連続的に表示する時計は相似的な表示をする時計ということなのでしょう(アナログ腕時計も秒針は間欠的に進みますから、ここに着目すればデジタル時計と言えなくもありません)。

階段状のデジタルと滑らかなアナログ

 ではデジタルレコードはどうなっているのでしょうか。
現在はデジタルレコード=CDと言ってもあまり差し支え無いと思いますから、CDについて考えて見ましょう。構造はCDの構造をご覧下さい。

 CDに音信号を記録するためには、記録する前に音信号(つまりアナログ信号)をデジタル信号に変換します。このデジタル信号は1と0だけで成り立っています。電気によるデジタル信号は、例えば高い電圧を1、低い電圧(多くの場合0V)を0とする約束事を設けて電圧で表したものです(勿論低い電圧を1、高い電圧を0と取り決めても問題はありません)。この約束事を使って0〜7の10進数を表すと次のようになります(Hは高い電圧をLは低い電圧を表す。左端は10進数、その右は10進数に対応する3ビットのデジタル信号で、左から順に1個めのデジタル信号、2個めのデジタル信号、3個めのデジタル信号です)。
 0 L L L
 1 H L L
 2 L H L
 3 H H L
 4 L L H
 5 H L H
 6 L H H
 7 H H H
 ・ ・ ・
 ・ ・ ・
 ・ ・ 
つまり0〜7の数を表すには少なくとも3個のデジタル信号が必要です。従って10を表すには4個必要です。また、8個では255(0を入れると全部で256個の数)、16個なら65535まで表すことが出来ます。
CDではアナログ音声波形の高さを測りこれを16個のデジタル信号に置き換えます。この測定と置き換えは1秒間に44,100回行われます。このようにして置き換えられたデジタル信号が1列の1か0にされてCD盤上に渦巻き状に記録されています(実際には記録し易い形にしたり、誤り訂正のための信号を付加したりしているので、0又は1の数はもっと多くなっています。

 再生では読み出した16個のデジタル信号により表される高さの電圧を順番に並べ(1秒間に44,100回)ます。そしてその隙間をなだらかにして元の音信号の波形として取り出します。

 という訳で、元の形と類似した形で表されるのがアナログ、敷居値を設けてそれを境に存在するかそうでなければ存在しないという形で表されるのがデジタルということになります。
しかし一般的にはアナログは滑らかに変化するものを指し、デジタルは角のあるイメージかもしれません。

 しかし何故アナログは性能が悪く、デジタルは高性能に見えるのでしょうか。
それはアナログ信号はコピーつまり記録をすると、多かれ少なかれ元の信号よりも異なったものになるからです。つまりコピーをする度に音なら悪くなります。
これに比べデジタルでは1か0かを間違えさえしなければ、コピーを繰り返しても劣化しません。


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